ミナミキイロアザミウマ対策の主役たちの変遷

施設野菜栽培で問題になる害虫の中で、
最も難防除なのはミナミキイロアザミウマ
高知県の天敵を使った防除技術の組み立ての歴史は、
このミナミキイロアザミウマの
防除対策の歴史でもあります。

ここでは、これまでミナミキイロアザミウマ対策で活躍した
天敵昆虫たちの変遷を紹介します。

ククメリスカブリダニ(平成12年頃まで)


平成10年4月に農薬登録されました。
ちょうどその頃、
県東部で天敵を使った防除技術の確立に向けた
本格的な現地実証試験が始まっています。
現地では生産者、JA、普及センターが一体となって、
使い方の検討、使用できる薬剤の選定などを繰り返しました。
JA土佐あき管内全域で
天敵防除を取り組んで行こうという
意識が盛り上がりました。


タイリクヒメハナカメムシ(平成13年頃〜)


成虫がミナミキイロアザミウマ成虫を捕食中

成虫がタバココナジラミの成虫を捕食中

幼虫がハダニ?を捕食中

成虫がモモアカアブラムシを捕食中

平成13年、タイリクヒメハナカメムシが農薬登録された。
この製剤の登場でミナミキイロアザミウマ対策は
大きく変わりました。
栽培初期にこのハナカメムシを定着させると、
その後、ほぼ栽培終了までミナミキイロアザミウマは
問題にならないという画期的なものでした。
現在の天敵利用技術の原型がこのカメムシの登場で、
この頃ほぼできあがりました。

<土着天敵の利用>
ミナミキイロアザミウマはタイリクヒメハナカメムシの登場で
難防除害虫でなくなりかかっていた頃、
新たな難防除害虫が登場しました。

タバココナジラミの登場です。平成17年頃です。
当時、タイリクヒメハナカメムシにしっかり働いてもらうために、
ミナミキイロアザミウマの密度を少し抑制して、
タイリクヒメハナカメムシには、
ほとんど影響のない
いわゆる選択性殺虫剤で
コナジラミ類の密度抑制をしておりました。

その選択性殺虫剤の感受性が低下した
タバココナジラミの系統が侵入したのです。
すなわち、薬剤抵抗性を獲得した個体群の侵入です。

侵入当初は有効天敵も明らかになっておらず、
ほぼ無防備状態でタバココナジラミは増える一方。
タバココナジラミの排泄物に発生した、
すす病の被害で真っ黒になったハウスが
あちこちで大発生しました。


そんな中にあっても、JA土佐あき管内の
生産者はあきらめませんでした。
タバココナジラミ大発生の中で、
タバココナジラミを捕食している天敵を発見したのです。

そこで、登場したのが
クロヒョウタンカスミカメとタバコカスミカメです。

この2種はミナミキイロアザミウマもよく食べてくれます。



クロヒョウタンカスミカメ(平成18年頃〜)


植物の樹液を吸っていると思われる

コナジラミ成虫を捕食中

コナジラミ幼虫を捕食中

幼虫

タバコカスミカメ(H18年頃〜)


タバコカスミカメ成虫

交尾中

タバコカスミカメ幼虫

コナジラミ幼虫を捕食中の幼虫

クロヒョウタンカスミカメやタバコカスミカメは土着天敵で、一般では売ってません。
しかし、次の作でもタバココナジラミが発生するのは間違いないので、
せっかく発見したタバココナジラミの天敵、
タバコカスミカメ、クロヒョウタンカスミカメをなんとか、
大量に確保する方法を考えねばなりません。
どうやって手に入れているか?


ここが、高知県の生産者のすごいところです。
以下の方法を考え出しました。

1.自分たちで採集しに行く。
2.天敵を飼って、自分たちで増やす。
3.作型の違う産地で天敵のリレーをする。

これらの取り組みにより、
最も難防除だったミナミキイロアザミウマは
普通の害虫になりました。

もはや、この害虫の対応で、
頭を抱えることはなくなったと
言い切れる状態になりました。