<交配用昆虫>

 ナス、メロン,イチゴなどの果菜類が着果するには、交配が必要です。交配とは、植物の雌雄を人為的に受精させることです。メロン、イチゴなどでは古くから、交配のためにミツバチが利用されてきました。

 高知県の主力品目であるナスでは、平成の始め頃はホルモン剤による着果処理がおこなわれておりました。このホルモン剤処理作業は、開花した花に一つ一つホルモン剤を少量散布していく細かい作業で、全労働時間の約30%を占める重労働でした。
 そこで、高知県の普通ナス栽培面積の約90%を占める安芸市を中心とした県東部地域で、着果作業の省力化を目指し、当時トマトで導入が進みつつあったセイヨウオオマルハナバチが導入できないかと検討されました。着果試験が始まったのは平成4年頃です。


 数年間の実用試験の結果、施設栽培普通ナスに導入するには、防除体系を根本的に見直す必要があることが明らかになりました。害虫対策で散布する化学農薬が原因で、マルハナバチが飛ばない事例が続出したのです。そこで、導入されたのが天敵を使った防除技術です。着果を虫にまかすなら、害虫の密度抑制も虫にまかせ、化学農薬をできるだけ使わない栽培に切り替える必要がありました。(続きは天敵防除の項)


 セイヨウオオマルハナバチは施設内でよく働き、ナスの着果に関しては問題ないことも明らかになりました。しかし、コスト面で問題が残っておりました。そこで、導入されたのがセイヨウミツバチです。セイヨウオオマルハナバチは一箱当たりの寿命が短く2ヶ月程度で更新しなければなりませんが、セイヨウミツバチは巣箱の寿命が長く、上手に飼育すれば1年に一回の導入ですみます。この、セイヨウミツバチの導入は、施設栽培普通ナスへの交配昆虫の導入率を飛躍的に上げました。

  高知県では導入当初から、ハチたちにハウス内で働いてもうらおうという観点から、施設天窓などへのネット展張は必須で導入が進みました。しかし、セイヨウオオマルハナバチの利用箱数が増加すると、海外からの導入種であるセイヨウオオマルハナバチが野外に逃亡・定着し、在来種等生態系にも影響を及ぼす可能性が懸念されたことから、日本在来のクロオオマルハナバチの導入も検討されました。


 2014年現在、交配昆虫を使った着果技術は、施設普通ナスの約90%に導入されており、今では当たり前の技術になりました。生産者は各自、使いやすさなどで、セイヨウミツバチ、クロオオマルハナバチ、セイヨウオオマルハナバチを組み合わせて使ってます。
セイヨウミツバチを10月に導入し、冬場はセイヨウミツバチの働きが悪いのでセイヨウオオマルハナバチか、クロオオマルハナバチとの併用し、春になって巣箱の状態・開花状況を確認しながら、いずれかの種類の巣箱を追加する使い方が多いようです。